学級経営がうまくいかない先生に大切なこと(12月)
▼ こんな悩みありませんか?
・ 学級経営のコツが分からず、不安になる
・ 子どもたちのやる気を引き出そうとするものの、なんだか空回りしている
・ いろんな方法は試してみるものの、どれもしっくりこない
こんな悩みを解決し、1年間、学級経営を楽しく行い、子どもたちの力を伸ばす方法をご紹介します。
4月から3月まで、どのような流れで学級経営を行えばよいかを、4月から順にお伝えしていきます。
今回は、12月の学級経営についてです。
以前の記事はこちら→ 学級経営がうまくいかない先生に大切なこと(11月)
<本記事の内容>
「学級経営がうまくいかない先生に大切なこと(12月)」
① 何を評価するのか
② 形成的評価と総括的評価
③ 成長マインドセットを促す評価
本記事を書いている僕は、現役の小学校教師でありながら、中学生~高校生まで幅広くサポートするフリースクールも運営したり、全国から集まる教育関係者のオンラインサロンオーナーも務めたりしております。
また、5年間で1000冊以上の本を読み、教育や人間関係、モチベーションについて、今も学び続けています。
今回は、これらの経験を基にした記事を書いていきます。
結論
「”分からない”ではなく”まだ分からない”」
「”できない”ではなく”まだできない”」ということを、子どもたちに教え、実感してもらうことです。
「分からない」、「できない」という言葉は、思考停止を招き、成長を妨げます。
一方、「まだ」を意識することで、成長を期待する気持ちに変化していきます。
学力も人間関係も良好になります。
「ホントに?」
と疑うかもしれませんが、脳のマインドセットは不思議とそうなっているのです。
とはいえ、ぼくも最初は疑っていました。
しかし、「まだ」の考え方を取り入れることで、子どもたちはどんどん前向きに物事に取り組むようになりました。
「それならやってみよう!」とは思ってみた人も多いと思います。
しかし、具体的に、どのような指導や声かけをしていいの…?と不安な方もいるでしょう。
今回は、そんな不安を解消する指導法をご紹介します。
それでは早速、読み進めていきましょう(^O^)/
1 何を評価するのか
結論から言うと、「結果」だけではなく、「過程」を評価するです。
成長マインドセットを促す評価をしていくことが、子どものやる気に大きな影響を与えます。
大人の子どもに対する評価は、子どもたちの人生を左右すると言っても過言ではありません。
みなさんも子どもの頃は、先生や親の評価を気にしていたのではないでしょうか?
ぼくもそうでした。
先生や親に認めてもらえるとうれしくて、運動も勉強も、ものすごく頑張った記憶があります。
しかし、これでは不十分なのです。
子どもの頃のぼくは、大人に認められるために頑張っていたのです。
「分からない」「できない」は、評価されない。
そんな気持ちで頑張っていました。
根底には、「分からない」「できない」は、恥ずかしいこと。
「分かる」「できる」が評価される。
そんな世界の裏側にいる、「分からない」「できない」を承認されない子には価値がないのでしょうか?
そんなとき、「まだ分からない」「まだできない」と「まだ」の可能性を信じている子であれば…
これから「分かる」「できる」と希望をもって、進むことができたかもしれません。
しかし残酷にも、
「分かる」「できる」だけで評価してきた大人によって、子どもの「分かる」「できる」の可能性は奪われてしまうのです。
もっとも、親や先生は、そんなつもりはないはずです。
子どもを承認し、やる気を引き出すために、いっぱい愛を注いでくれる大人がほとんどです。
しかし、せっかくなら、もっと正しい評価をしてもらえれば…と思うのです。
結果のみを評価されて、その過程を評価されないと、子どもはいつしか頑張る意欲を失ってしまいます。
「できる」「分かる」子は、常に完璧を求められ、行き詰ってしまいます。
「できない」「分からない」子は、学びから逃走していきます。
誰もいい方向には進まないのです。
学校現場では、結果の評価を「総括的評価」、過程の評価を「形成的評価」と言います。
簡単にいうと、総括的評価は、単元テスト。形成的評価は、テストに至るまでのレポートなどです。
学校現場では、総括的評価に傾倒し、形成的評価が弱い現状があります。
新学習指導要領では、「振り返り」が重視されるようになりました。
要は、形成的評価に力を入れていきましょう。ということです。
それでは、形成的評価と総括的評価の具体的な例を見ていきましょう。
2 形成的評価と総括的評価
・形成的評価
→学習の途中や単元を通して、学び方や習熟度を定期的に評価すること。
例)
・毎時間の振り返りをノートに書く学び方や理解度を、教師が把握すると共に、子どもたちも自己評価する。
→分かったこと/分からなかったこと
→頑張ったこと/もっと頑張れたこと
→心に残ったこと・授業始まり(終わり)の小テスト
理解度や習熟度を把握するためのテストであって、結果を求めるテストではない。
これまでの学習を振り返るためのテスト。
教師は指導法を振り返り、子どもは学び方を振り返る。
形成的評価では、学習や単元の途中にタイムリーなフィードバックが行えます。
そのため、教師は随時必要な指導法の調整を行え、子どもたちは学び方を調整することができます。
子どもたちに振り返りの機会を与え、
「分からない(できる)」ではなく、「まだ分からない(できない)」のであって、
「これから分かる(できる)」経験をさせることが大切です。
子どもたちには、何が分かって(できて)、何が分かっていない(できていない)のかを、把握させることが必要です。
そのために、教師は形成的評価を行います。
そして、子どもたちが定期的に自分の学びを振り返る習慣が身に付いていきます。
そうすることで、時間はかかるかもしれませんが、自分で自分の学びをコントロールできるようになります。
・ 総括的評価
→学習や単元の最後に理解度を評価すること。
総括的評価の例)
・単元テスト
・発表会
・期末試験
・統一試験
・レポートの最終稿
総括的評価は、1つの単元だけを扱う小さなテストから、統一テストのような大きいテストもあります。
また、発表会やレポートなど点数では測れないパフォーマンスの評価テストもあります。
総括的評価は、形成的評価と密接に関連させることが大切です。
形成的評価を丁寧に行えば、子どもたちの総括的評価は予測することができます。
毎時間毎単元振り返り、理解度を確認していれば必然的にそうなります。
つまり、総括的評価は、これまでの学びの評価ということです。
形成的評価を充実させることにより、学びの充実度が上がります。
学びの充実度が上がれば、総括的結果も上がるということになります。
これは、子どもたちの学びの評価だけではなく、教師の指導の評価になります。
教師が効果的な形成的評価を指導していれば、子どもたちの学びも充実するからです。
したがって、形成的評価と総括的評価は、切り離したものではなく、密接に関連するものなのです。
3 成長マインドセットを促す評価の在り方
最も価値のある評価とはタイムリーな評価です。
子どもが今やっているその瞬間に行う評価です。
「鉄は熱いうちに打て」ということわざをイメージすればよいでしょう。
とはいえ、教室にいる子どもたち全員に1人ひとり同時にタイムリーな評価をすることはできないのが現状です。
したがって、可能な限りタイムリーな形成的評価を心がけ、子どもたちの成長マインドセットを促していくことが大切です。
タイムリーな形成的評価以外で、なんとかならないのでしょうか…と思うはずです。
そこで、成長的マインドセットを育むテストがキーになります。
成長マインドセットを育むテストとは、どんなものなのでしょうか?
・重視するのは点数や成績ではなく、習熟度(伸び率)を評価する。
→小テストの結果や形成的評価を基に、他者との比較ではなく個人内で評価する。
→(点数をつけるのは悪いことではないが)繰り返しチャレンジし、点数を上げていくチャンスを与える。・ABCDの成績をつけない。
→「改善の余地あり」「基礎は理解している」「ほぼ達成」「達成」などの基準を示す。・プロセスに焦点を当て、習得を促す評価をする。
→「まだまだ前進可」「前進中」「上達中」「合格」などの基準を示す。
<まとめ>
教師が成長マインドセットを尊重する教室環境にすることが大切です。
教室環境は、掲示物などの物的環境だけではなく、人という人的環境もあります。
教室においての人的環境を効果的に生かすためには、成長マインドセットを尊重し合う人間関係が好循環を生みます。
そのために、何度でもテストや課題などに取り組みたくなったり、友だちと協力して学習を進めたりするような評価が大切です。
「分からない」ではなく、「まだ分からない」
「できない」ではなく、「まだできない」
そんな成長マインドセットが、子どもたちをどんどん前向きにし、学力も人間関係も良好にしていくのです。
<参考>
もっと詳しく知りたい方はこちら↓
「【あなたはどっち?】成長マインドセットと固定マインドセット、一流の学習者に求められる大前提とは」
<合わせて読みたい記事>
→ 「【厳選】たったこれだけ!チェックすべき教育書【経験年数別】」